公開日
2018/01/12
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ざっくりまとめると
頭部白癬(しらくも)に感染すると、大量のフケが出たり、脱毛斑があらわれたり、患部に腫れやかゆみが生じたりします。
感染経路は、白癬菌への接触感染です。感染者の頭髪やタオル、帽子、感染しているペットの体毛などからうつる可能性があります。
頭部白癬の治療薬は、イトラコナゾール錠とテルビナフィン錠です。治療期間は約2か月から3か月です。

頭部白癬とは、「白癬菌」というカビの一種によって起こる皮膚疾患です。感染すると、大量のフケが出たり、脱毛斑ができたりします。未成年、特にまだ幼い子どもがよく感染する疾患で、放置していても自然には治りません。それどころか、放っておくと症状はどんどん悪化してしまうのです。

今回はそんな頭部白癬の原因から詳しい症状、治療法や予防にいたるまで、幅広くお伝えします。頭部白癬についての知識を深め、感染が疑われた際には適切な処置を行いましょう。

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頭部白癬は頭皮がカビに感染して起こる

白癬の原因となる白癬菌

頭部白癬とは、白癬菌が引き起こす皮膚疾患のひとつです。しらくもトリコフィトン・トンズランス感染症とも呼ばれています。

白癬菌とは真菌(カビ)の一種で、感染力が強く、頭の他にも足や足の爪に感染します。

頭部白癬は「頭にできる水虫」!

ちなみに、足に白癬菌が感染する病気が「水虫」であることから、頭部白癬は「頭にできる水虫(たむし)」ともいわれています。

男児が頭部白癬に感染しやすい

頭部白癬は、子どもが感染しやすい疾患という特徴があります。なかでも男児が感染しやすく、女児よりも2倍以上も感染している報告があるのです。頭部白癬に感染する子どものうち、実に7割以上は男児です。

発症年齢は10歳未満の幼小児が69例中 35例(50.7%)と半数を占め, 次いで10代が14例(20.3%), 60代が7例(10.1%)の順になっていた. 性別は, 20歳未満では男女比35:14と男性が多かった

では、頭部白癬はどのような経路で感染するのでしょうか。

頭部白癬の原因は白癬菌への接触感染

頭部白癬にかかっている人の患部に直に触れると感染します

頭部白癬は、白癬菌が頭皮の毛穴から感染することで引き起こされます。

【頭部白癬のよくある感染ケース】

  • 感染者の頭髪に直に触って感染する
  • 感染者が使ったタオルや帽子を共有して感染する
  • 感染したペットの白癬菌に感染する
  • 水虫の白癬菌が頭や毛髪に感染する

白癬菌の感染経路は接触感染です。頭部白癬にかかっている人の患部に直に触れると感染します。中学や高校の柔道やレスリングの部員といった、相手の髪に触る機会が多い男児が感染することも増えているのです。また白癬菌は、動物の体毛にも感染するので、ペットから白癬菌をうつされることもあります。

直接患部に触るだけでなく、頭部白癬の患者が使ったタオル帽子を触っても感染する恐れがあります。白癬菌はカビの仲間というだけあって、湿気の多い場所を好みます。つまり、汗のしみついたタオルや帽子は、白癬菌がもっとも暮らしやすい場所なのです。他の人が使った洗っていないタオルや帽子を借りたり、直接触ったりすると、感染してしまう可能性があります。

白癬菌は、足や足の爪などにも感染し水虫を引き起こします。水虫になっている足に触った手で頭や髪に触れると、そこから頭部白癬を発症するケースもあるので注意しましょう。

頭部白癬の症状はフケや脱毛斑

頭部白癬の症状はフケが発生したり頭皮が剥がれ落ちたりします

頭部白癬に感染すると、以下のような症状があらわれます。

【頭部白癬の症状】

  • 大量のフケ
  • 頭皮がポロポロと剥がれ落ちる
  • 髪が抜けやすくなる
  • 脱毛斑ができる
  • 脱毛範囲の髪がちぎれたり根元から折れたりする
  • 患部の腫れや、かゆみを伴うこともある

頭部白癬は、フケが発生したり頭皮が剥がれ落ちたりすることで、髪が抜けやすい環境になってしまいます。脱毛部分の髪は根元から折れ、ちぎれやすくなるため、脱毛部分を遠目から見ると黒い点々のようになっているのが特徴です。

乾性フケ・円形脱毛症・脂漏性皮膚炎との違い

頭部白癬の症状は、乾性フケ、円形脱毛症、脂漏性皮膚炎と間違われることがよくあります。ほかの脱毛症と見誤らないよう、以下の表で頭部白癬とそれ以外の症状の違いを確認しておきましょう。

【頭部白癬と似た症状の違い】
フケの有無 フケの状態 脱毛斑の有無
頭部白癬 あり 乾燥・小さい あり
乾性フケ あり 乾燥・小さい なし
円形脱毛症 なし なし あり
脂漏性皮膚炎 あり 湿潤・大きい なし

上の表のとおり、頭部白癬とそれ以外の症状では、フケ脱毛斑の有無などに違いがあります。頭部白癬の特徴は、乾燥した小さなフケが発生し、なおかつ髪が根元でちぎれて脱毛斑ができる点です。円形脱毛症も脱毛斑ができますが、脱毛斑の毛が根元からすべて抜け落ちる点が、頭部白癬とは異なります。フケや脱毛斑の様子が頭部白癬に当てはまらない場合は、乾性フケや円形脱毛症、脂漏性皮膚炎である可能性が高いでしょう。

頭部白癬は皮膚科へ!飲み薬で治療しよう

頭部白癬の治療は抗真菌薬で治す

頭部白癬の症状があらわれたら、皮膚科を受診してみましょう。皮膚科では、頭部白癬の治療として飲み薬が処方されます。

服用する薬は、イトラコナゾールテルビナフィンです。これらは抗真菌薬であり、頭部白癬の原因である真菌を体内から滅してくれます。イトラコナゾールは1日1回100mgから200mg、テルビナフィンは1日1回125mgをそれぞれ食後に服用します。

ポイント

飲み忘れに気付いた時は、どちらの薬も1回分を服用してください。ただし、次に服用する時間が近い場合は、1回飛ばしてかまいません。2回分を一度に飲んでも効果は上がらないので、きちんと服用量を守りましょう。

イトラコナゾールもテルビナフィンも副作用はほとんどない

イトラコナゾールにもテルビナフィンにも、これといった危険な副作用はありません。以下は軽い副作用の一例です。

【イトラコナゾールとテルビナフィンで起こる軽い副作用】

  • 倦怠感
  • 食欲不振
  • 吐き気
  • 発熱
  • 発疹
  • かゆみ
  • 手足の冷え
  • 息苦しい

副作用の種類だけ見ると、数が多いと感じるかもしれません。とはいえ、実際に副作用が起こる確率は0.1%から1%未満、または頻度不明となっています。過度に服用を恐れず、積極的に薬を飲んで治療に専念しましょう。薬を飲みじはじめてから気になる症状があらわれた場合は、すぐに医師に相談してください。

イトラコナゾールとテルビナフィンの費用

1錠あたりの薬価はイトラコナゾール287円、テルビナフィン184円

イトラコナゾールとテルビナフィンは、どちらも保険が適用される薬です。以下は、イトラコナゾールとテルビナフィンの1錠あたりの薬価と1か月分の費用を比較した表です。

【イトラコナゾールとテルビナフィンの薬価・1か月分の費用の比較】
イトラコナゾール100mg テルビナフィン125mg
1錠あたりの薬価 287円 184円
1か月分の費用 8,610円 5,520円

実際にはこの金額に、診察費や薬局での調剤費が加算されます。病院へ行く際には、事前にクリニックや薬局のホームページで、おおよその費用を調べておきましょう。

頭部白癬の治療期間はおよそ2か月から3か月

頭部白癬の治療は3か月

頭部白癬の治療は、約2か月から3か月にわたって続けます。頭部白癬は目に見える症状がなくなっても、身体の中に菌が残っている可能性があるため、油断は禁物です。自覚症状がなくなったからといって治療をやめると、身体に残っていた菌が原因で再発することもあります。再発を防ぐためにも、医師から「もう服用しなくてもよい」と承諾を得られるまでは、薬での治療を続けましょう。

頭部白癬にステロイド外用薬は絶対NG!

頭部白癬の治療でステロイドの塗り薬を使うと症状が悪化します

頭部白癬の治療でステロイドの塗り薬を使うと、症状が悪化し、ケルスス禿瘡(とくそう)の原因になってしまうことがあります

ケルスス禿瘡とは、上の写真のように脱毛斑が赤く腫れあがり、膿がたまってブヨブヨになる疾患のことです。ケルスス禿瘡は、白癬菌に感染して発症することもあります。しかし大抵は、頭部白癬の治療にステロイドが使われて症状が悪化した際にあらわれる症状です。このため、頭部白癬の治療では塗り薬は使わない方がよいとされています。頭部白癬を含む「皮膚真菌症・治療ガイドライン」でも、以下のように記されています。

頭部白癬は外用真菌薬の刺激で炎症が強くなる可能性があり,外用できたとしても毛包内までは効果が及ばないため,経口抗真菌薬をのみを使用する

また、塗り薬と飲み薬を併用しても効果が上がらないばかりか、逆に治りが遅くなります。このため、頭部白癬を治すには飲み薬での治療が基本です。

清潔にして頭部白癬を予防しよう

頭部白癬を予防するには清潔にすること

頭部白癬を予防するには、白癬菌の好む環境を作らないことが大切です。白癬菌はカビの一種なので、湿度の高い環境を好みます。そのため、頭をふいたタオルや汗の染みついた帽子などは、白癬菌の住処となってしまいます。これらの布類を他人と使いまわすと感染が広がってしまうため、注意しましょう。

以下に、頭部白癬を予防するための注意事項をまとめました。

頭部白癬を予防するためのポイント

  • 使ったタオルや帽子は他人と共有せず、すぐ洗う
  • 他人の髪に触れる競技をしている場合は、練習や試合のあとすぐに頭や体を洗う
  • ペットが白癬菌に感染している場合もあるので、定期的にお風呂に入れたりグルーミングしたりする
  • 家族や同居人が頭部白癬である場合は、部屋にある抜け落ちた毛を放置せず、掃除機などで室内をきれいに保つ

頭部白癬の原因である白癬菌は感染力が強いため、予防を徹底することが大切です。自身や身の回りを清潔にし、白癬菌の好む環境を作らないよう注意してください。

まとめ

頭部白癬とは、白癬菌に感染することで引き起こされる皮膚疾患のひとつです。

白癬菌は接触感染によって感染が広がります。患部に直接触るだけでなく、頭部白癬にかかった人が頭をふいたタオルや被った帽子に触ることでも感染してしまうのです。

頭部白癬にかかると、大量のフケが見られます。また髪が抜けやすくなり、脱毛斑もできてしまう疾患です。乾性フケや円形脱毛症と間違われやすいですが、フケや脱毛斑の様子の違いから、頭部白癬であると判断できます。

頭部白癬の治療は、イトラコナゾールテルビナフィンといった飲み薬で行われます。どちらの薬も目立った副作用はありません。頭部白癬の治療にステロイド外用薬を使うと、症状が悪化してケルスス禿瘡になってしまう可能性があります。頭部白癬を飲み薬で治療する期間は、およそ2か月から3か月です。

頭部白癬を予防するには、衣類をこまめに洗ったり、室内に落ちた髪の毛を放置したりしないよう注意してください。白癬菌を繁殖させないためにも、常に身の回りを清潔にしておきましょう。

参考文献・参考サイト

頭部白癬(しらくも)は飲み薬で治す!原因や症状、予防法も解説は、以下のサイトや資料を参考に作成しました。