IGF-1

IGF-1(あいじーえふ・わん)

公開日
読了時間の目安
5分で読めます

IGF-1とは、成長ホルモンの刺激を受けて分泌される成長因子のひとつです。身体を健康に維持する働きがあり、かつ髪の毛を成長させる効果も持っています。

ここでは、IGF-1の詳しい作用や、IGF-1が減少する原因を解説します。IGF-1の増やし方についても併せて紹介。また、IGF-1を増やしすぎることによる弊害もあわせて見てみましょう。

IGF-1に関する知識を深め、薄毛やAGAといった脱毛症状の改善に役立ててください。

IGF-1はインスリンを助けるホルモン

IGF-1とは、Insulin-like Growth Factor-1の略称で、アミノ酸からできたペプチドホルモンです。別名、ソマトメジンCともいいます。インスリンに似た構造をしているため、インスリン様成長因子-1と呼ばれることもあります。

IGF-1は、肝臓が成長ホルモンの刺激を受けることによって分泌されるホルモンです。分泌される場所は体内の様々な臓器。肝臓が最も多く、他にも腎臓や筋肉、心臓などから分泌されます。主な働きは、細胞の成長の促進、傷ついた細胞の修復や再生です。

IGF-1は、肝臓が成長ホルモンからの刺激を受けなければ分泌されません。分泌量は成長ホルモンの量と比例します。成長ホルモンは思春期から青年期にかけて大量に分泌されますが、30歳頃から分泌量が減ってしまいます。

以下の表は、年代、性別の血中濃度におけるIGF-1基準値です。

【IGF-1 基準値】
男性 女性
10歳 99~423 155~588
20歳 142~470 175~499
30歳 109~303 129~304
40歳 94~263 98~245
50歳 87~245 80~216

上の表から分かるように、成長ホルモンが減少すると、それに伴ってIGF-1の分泌も減少してしまうのです。

IGF-1の働き・作用

IGF-1には、身体の健康を維持するさまざまな働きがあります。インスリン同様、血糖値を下げたり成長ホルモンの分泌を促したりするほか、以下のような働きも持っているのです。

IGF-1の働き

  • 細胞分裂を促す
  • 神経細胞を保護する
  • 赤血球を増やす
  • 子宮内を発達させる
  • 腎臓の血流を促す
  • 免疫機能を高める

以上のように、IGF-1は身体を健康に保ったり、組織細胞の成長を促したりする働きを持ちます。老若男女問わず、身体の健全な発達にはIGF-1が欠かせません。

IGF-1は髪の成長期を長くする

IGF-1は毛根でも細胞分裂を促進し、髪の毛を成長させます

IGF-1は毛根でも分泌されている

IGF-1は肝臓などの臓器で分泌されるのと同じように、毛根にある毛乳頭細胞でも分泌されます。前述の通り、肝臓などの臓器で分泌されるIGF-1は、成長ホルモンの刺激で分泌されます。しかし頭皮の毛乳頭細胞で産出されるIGF-1は、知覚細胞が刺激されることで分泌されるのです。

IGF-1が毛母細胞の分裂を促進する

毛乳頭細胞は「発毛の司令塔」とも呼ばれており、髪の毛が生えるプロセスに欠かせない器官です。IGF-1が毛乳頭細胞で分泌されると、毛母細胞でIGF-1の受容体が作られます。毛母細胞とは、毛乳頭細胞から指令を受け、実際に髪を作り出す器官です。IGF-1と受容体が結びつくと、毛母細胞の分裂を促してくれるため、髪が伸びやすくなります。IGF-1は髪が退行期・休止期へ移行するのを止めるので、結果的に髪の成長期が長くなるのです。

IGF-1の効果が強い部位、弱い部位

テストステロンの作用によって、毛乳頭細胞からは2つのアミノ酸が産出されます。ひとつは、毛周期を退行期へと誘う増殖抑制因子「TGF-β1」。もうひとつが、毛周期を成長期へと誘う増殖促進因子「IGF-1」です。

テストステロンが作用するとジヒドロテストステロンが生まれ、毛根の増殖が抑えられます。毛根が大きく育たなくなる「毛根のミニチュア化」が起きると、脱毛症状がはじまるのです。以下は、テストステロンの作用により脱毛していく一連の流れです。

テストステロンの作用

  1. テストステロンが5α-リダクターゼによって5αジヒドロテストステロンに変換される
  2. 5αジヒドロテストステロンがアンドロゲン受容体とくっつく
  3. 強いアンドロゲン作用が発揮されて脱毛する

しかしジヒドロテストステロンは、プラスの作用を及ぼす因子「IGF-1」と、マイナスの作用を及ぼす因子「TGF-β1」の両方を生み出します。毛髪にマイナスの影響を及ぼすのがジヒドロテストステロンなら、IGF-1を生み出しているのもジヒドロテストステロンなのです。

IGF-1があるのになぜ髪が薄くなるのか?と疑問に思うかもしれません。現代医療でも、そのメカニズムはいまだに解明されていません。あくまで推測の域を出ないものの、考えられる可能性は、体の部位や遺伝によって、成長因子(IGF-1)と抑制因子(TGF-β1)が生み出されるバランスが異なることです。

前頭部から頭頂部にかけての毛髪は、ジヒドロテストステロンによって抑制因子(TGF-β1)の影響が強く出て、毛根の増殖は抑えられます。逆に、わき毛や陰毛、ひげでは、成長因子(IGF-1)の影響が強く出るため、毛髪はどんどん発達します。

成長(IGF-1)と抑制(TGF-β1)のバランス

  • 腋毛や陰毛やひげ:IGF-1 > TGF-β1
  • 前頭から頭頂毛:IGF-1 > TGF-β1

毛髪に対して悪者とされるジヒドロテストステロンは、IGF-1の産生にも大きく関わっているため、一概に悪者とは言い切れないのです。

IGF-1を増やす鍵はカプサイシンと成長ホルモン

IGF-1は身長を伸ばしたり、髪の成長期を長引かせたりなど有益な作用を持っています。そんなIGF-1の分泌量を増やすには、以下の2つの方法があります。

  1. IGF-1の分泌を促す食品を摂る
  2. 成長ホルモンを増やす

それぞれの項目について、順番に見ていきましょう。

IGF-1の分泌を促す食品を摂る

毛乳頭細胞でIGF-1の分泌量を増やすには、胃の知覚神経を刺激することが大切です。

胃の知覚神経を刺激するとIGF-1の元ができる

胃の知覚神経が刺激されると、脳に刺激が伝わり、頭皮の知覚細胞まで届きます。頭皮の知覚細胞まで刺激が伝わると、知覚細胞のなかにあるアミノ酸がCGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)という物質に変化します。このCGRPが毛乳頭細胞に働きかけることで、毛乳頭細胞の中にあるアミノ酸がIGF-1に変化するのです。IGF-1の材料であるCGRP を作るためにも、胃の知覚神経を刺激することは重要です。

胃の知覚神経を刺激するには唐辛子(カプサイシン)がいい

胃の知覚神経を刺激するのに有効な手段は、唐辛子を食べることです。唐辛子に含まれるカプサイシンは辛味の主成分であり、胃の知覚神経を十分に刺激してくれます。ただし、カプサイシンは過剰に摂取すると、吐き気や高血圧、排尿障害といった副作用を起こす可能性もあります。カプサイシンは、1日につき体重1kgあたり8.3mgまでなら摂取しても問題ありません。この摂取量の上限を超えないように注意しましょう。

成長ホルモンを増やす

IGF-1の分泌には、成長ホルモンも欠かせません。前述したように、IGF-1の分泌量は成長ホルモンの分泌量に比例します。そのため、成長ホルモンを安定して分泌させることもIGF-1を増やすためには大切なのです。

成長ホルモンを増やすには、規則正しい生活習慣が重要です。食事は1日3回きちんと摂り、成長ホルモンの分泌を促すタンパク質や、髪の生育に役立つ亜鉛を意識的に摂取しましょう。また適度な運動は、成長ホルモンを増やすだけでなく、IGF-1自体の分泌にも役立ちます。さらに、成長ホルモンは夜の睡眠中に分泌されます。あまり遅い時間に寝るのは避け、成長ホルモンの分泌を妨げないよう注意しましょう。

IGF-1は増やしすぎにも注意?

身体や髪の毛にとって素晴らしい効果を発揮してくれるIGF-1ですが、IGF-1が増えることによってデメリットも生まれます。前述したように、IGF-1は体内の細胞分裂を促す働きを持っています。このため、IGF-1の増加により、正常な細胞だけでなく、がん細胞も増えてしまうのです。IGF-1が増えれば増えるほど、がん細胞の分裂も活発になってしまいます。

しかし、通常の生活を送るぶんにはIGF-1が増えすぎることはありません。発毛のためにIGF-1を過剰に分泌させようと意識しなければ、問題にはならないでしょう。生活習慣に気を配り、カプサイシンを1日に小さじ1杯半ほど摂取すればIGF-1分泌には十分です。

IGF-1のまとめ

IGF-1は、成長ホルモンの刺激を受けて分泌される成長因子です。

体内の細胞分裂を促し、身体を正常に機能させるうえで大切な物質です。またIGF-1には、髪が退行期・休止期に移行するのを止め、髪の成長期を維持する働きもあります。AGAが発症する場合、前頭部と頭頂部はTGF-β1の影響を強く受けてしまうため、IGF-1の働きが抑えられているのです。

IGF-1を増やすには、胃の知覚神経を刺激すること規則正しい生活習慣を送ることが大切です。ただし、IGF-1を増やしすぎるとがん細胞の増殖につながる恐れもあります。とはいえ、通常の生活を送るぶんには問題ありません。

IGF-1を安定して分泌させられるような生活を心がけ、薄毛やAGAの改善に役立てましょう。

参考文献・参考サイト

AGAの用語集「IGF-1」は、以下のサイトや資料を参考に作成しました。