公開日
2017/06/15
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ざっくりまとめると
プロペシアを飲むと、性欲が落ちたり肝機能への障害が起きたりといくつかの副作用が起こる可能性があります。
妊娠中の女性がプロペシアを飲むと、胎児の性器が十分に発達しないなどのリスクがあるので注意してください。
副作用があらわれてなかなか治まらない場合は病院へ行くのが一番!医師にプロペシア以外の治療薬を提案してもらいましょう。

プロペシアは、フィナステリドを有効成分とするAGA(男性型脱毛症)の治療薬です。AGAの症状に高い効果を発揮しますが、性機能や肝機能に関する副作用があらわれる可能性もあります。

この記事では、プロペシアの副作用や、服用することで生じるリスク、副作用の対処法について解説していきます。

安心して服用できるよう、プロペシアの副作用やリスクについて理解を深めましょう。

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プロペシアの副作用と発生頻度

プロペシアを飲むと性機能や肝機能に関する副作用が起こる

プロペシアを飲むと、性機能や肝機能に関する副作用が起こる可能性があります。下の表に、プロペシアで起こりうる副作用と、その確率についてまとめました。

プロペシアの副作用 発生頻度
リビドー減退(性欲の低下) 1.1%
勃起不全 0.7%
精液量減少 0.4%
乳房肥大・乳房圧痛 頻度不明
肝機能障害 頻度不明
ポストフィナステリド症候群 頻度不明

「頻度不明」とされている症状は、自発的に申告があったもの、もしくは海外でのみ報告された副作用です。

プロペシアは、テストステロンをジヒドロテストステロンに変換する「5αリダクターゼ」を阻害します。この作用でAGAの原因となるジヒドロテストステロンを抑制し、薄毛を改善するのです。

AGAの原因であるため、どうしても悪玉ホルモンというイメージが強いジヒドロテストステロン。しかし、まったく必要ないというわけでもなく、抑制しても弊害はあります。その弊害がプロペシアの副作用である、性欲の低下や勃起不全、精液の量の減少などです。

ここからは、それぞれの副作用について詳しく解説していきます。

【副作用1】リビドー減退(性欲の低下)

プロペシアの副作用でもっとも多いのがリビドー減退

プロペシアを飲んでいて一番多い副作用が、リビドー減退(性欲の低下)です。性機能に関するほかの副作用と違い、性欲の低下に関しては精神的な影響が大きいと考えられます。性欲の低下以外にも、気分が落ち込む、ゆううつな気分になるなど、うつのような症状を感じる人もいるのです。性欲の低下も、このようなうつ症状に通ずるものがあります。

そして、これらの症状が起こる背景として、ジヒドロテストステロンの抑制があるのです。ジヒドロテストステロンは、脳の記憶をつかさどる「海馬」で分泌されています。脳の海馬とうつ症状の関係性について、以下の資料を見てみましょう。

1996 年に Sheline ら1) は,MRI を用いて反復性 うつ病の海馬体積を測定し,対照群と比較し て左右の海馬ともに有意に減少しているこ と,この萎縮の程度がうつ病エピソードの回 数と相関していることを報告した.

引用文から分かるように、うつ病患者の脳を研究した結果、海馬の萎縮が見られたのです。そのため、海馬が小さくなってしまうことが、うつ症状につながると考えられています。

海馬が小さくなってしまうのは、神経細胞が新しく生み出される作用(神経新生)が抑制されるからです。ジヒドロテストステロンは、神経新生にとって重要な役割を果たしています。

低強度運動トレーニング男性ホルモン,とりわけ作用が最も強い DHT (dihydrotestosterone) が海馬で de novo 合成され,海馬の神経新生を促進することを明らかにした

引用文からわかるように、ジヒドロテストステロンには、神経新生を促進する働きがあります。つまり、ジヒドロテストステロンが抑制されることによって、神経新生が鈍った結果、海馬が小さくなると考えられます。上述した内容から、プロペシアの作用が海馬まで届くと、海馬の神経新生が鈍り、うつ症状が出ると推察できるのです。

性欲の低下はうつ病の症状のひとつでもあります。性欲が低下してしまうのは、性機能が低下することとは別に、気分の落ち込みなども大きな要因となっているのです。このように、ジヒドロテストステロンの抑制は、性欲の低下や気分の落ち込みと深い関わりがあります。

【副作用2】勃起機能の低下

プロペシアによってジヒドロテストステロンが減少すると、勃起機能が低下するという研究結果があります。

動物実験では5α還元酵素阻害薬によるDHT低下により陰茎海綿体における一酸化窒素合成酵素(NOS)活性が抑制され勃起能の低下が起こること、DHTの補充により去勢ラットのNOS活性と勃起能 が回復することが報告されています。

この引用文をわかりやすく説明するために、陰茎(ペニス)の簡単な図を見てみましょう。

男性器が勃起するときは陰茎海綿体に血液が沢山流れることで勃起が成立する

男性器が勃起するとき、陰茎海綿体というスポンジのような組織が血液で満たされます。このとき、一酸化窒素合成酵素(NOS)という酵素が必要です。この酵素があることで、陰茎海綿体に血液が流れ、勃起が成立します。しかし、ジヒドロテストステロンが減少することで、このNOSが抑制されてしまうのです。上述した研究では、ジヒドロテストステロンを補うことで、再び勃起機能が回復したという結果もあります。

引用の内容は動物実験ですが、ジヒドロテストステロンの減少により人間でも勃起機能が低下するという副作用があることを覚えておきましょう。

【副作用3】精液の量・質の低下

プロペシアを飲むと、精液の量が減ったり質が下がったりします。プロペシアの有効成分であるフィナステリドは、もともと前立腺肥大症の治療薬として、海外で開発されました。前立腺と精液の関係を紹介するために、まずは前立腺がどのような臓器かを説明します。

フィナステリドは前立腺を縮小させる

まず、前立腺が体のどこに位置するのか、画像で見てみましょう。

前立腺は膀胱の下に尿道を囲むようにしてある小さな臓器です

図の薄いオレンジ色の部分が前立腺です。位置は膀胱の下、尿道を囲むようにしてあります。

前立腺の細胞は、ジヒドロテストステロンが働くことで活性化します。そのため、ジヒドロテストステロンが増加しすぎると、前立腺が異常に大きくなってしまいます。それによって、頻尿などの症状を引き起こしてしまうのが、前立腺肥大症です。フィナステリドはジヒドロテストステロンを抑制するので、前立腺の細胞が増殖するのを止められます。このように、フィナステリドには前立腺を縮小させる作用があるのです。

前立腺が縮小すると精液の量が減って質も下がる

上述した作用は前立腺肥大症には効果的ですが、通常の人がフィナステリドを摂取すると、前立腺の働きを弱めてしまう可能性があります。なぜそのように考えられるかというと、前立腺液の成分であるPSA(前立腺特異抗原)が、プロペシアを飲むことで大幅に減ってしまうからです。その内容について、インタビューフォームからの引用文で見てみましょう。

国内で実施した24歳から50歳の男性型脱毛症患者において、血清前立腺特異抗原(PSA)の濃度が約40%低下した。海外臨床試験において、高年齢層の前立腺肥大症患者へのフィナステリド投与により血清PSA濃度が約50%低下した。

日本の臨床試験では、PSAの値が約40%減少したという内容です。海外の試験では約半分になっています。この内容から、前立腺の働きが弱まり、分泌されている「前立腺液」も減少しているのではないかと考えられるのです。

前立腺で作られている前立腺液は、精液の約30%を占めています。精液の30%を占めているなら、前立腺液が減少すれば、精液の減少に直結するでしょう。さらに前立腺液には、精子に栄養を与えて保護するという大切な役割があります。精液中の前立腺液が減少すると、精子の守りが弱まるので、質の低下にもつながるのです。

【副作用4】乳房肥大・乳房圧痛

プロペシアの副作用によってホルモンバランスが変わり、乳房肥大や乳房圧痛といった症状が見られる

プロペシアを服用すると、ホルモンバランスの変化によって、乳房肥大乳房圧痛という副作用があらわれます。なぜ胸に異変が起こるのか、その理由を知るためにまずは、男性の体内でホルモンがどのように働いているのかを見ていきましょう。

テストステロンは女性ホルモンにもなる

プロペシアを飲むと、血中のジヒドロテストステロンの濃度が下がり、それによって男性ホルモンと女性ホルモンのバランスが変わるのです。

本来なら、ジヒドロテストステロンへの変換をストップすることで、変換されなかった分のテストステロンが増加するはずです。しかし、血中のテストステロンはほぼ増加しません。変換されなかったテストステロンの行方について、以下の引用文から詳しく説明します。

ステロイドの生合成経路からは,テストステロンの DHT への変換阻害によりテストステロンの増加が予想 されるが,増加に有意差はないため,テストステロンがエス トラジオール(E2)に代謝されると予想される

テストステロンはジヒドロテストステロンだけでなく、女性ホルモンである「エストロゲン」にも変換されます。引用文にある「エストラジオール(E2)」とは、このエストロゲンの一種です。以上の内容から、ジヒドロテストステロンになる道を止められたテストステロンは、エストロゲンに変換されたと考えられます。

エストロゲンは、女性らしいからだを作るためのホルモンであり、胸の発達を促す作用があります。そのため、エストロゲンが増えると女性のように胸が大きくなり、痛みを伴う場合もあるのです。命に関わるような副作用ではないので、そこまで心配はいりません。

【副作用5】肝機能障害

プロペシアの副作用として、肝機能障害が起こる可能性もあります。

プロペシアの副作用でまれに肝機能障害をおこすことがあります

プロペシアの成分は肝臓で代謝されるので、肝臓の機能にも影響します。肝臓に異常があるとどのような症状が出るのか、以下のリストにまとめました。

肝臓に異常があるとあらわれる症状

  • 倦怠感
  • 発熱
  • 黄疸
  • 発疹
  • 吐き気・おう吐
  • かゆみ

リストにある症状があらわれた場合、すぐに病院へ行きましょう。肝障害は気づかないうちに進行していることが多いので、症状を見つけ次第すぐに対処しなければなりません。

また、血液検査の数値では、肝臓に関連したAST(GOT)やALT(GPT)、γ-GTPといった値が上昇します。これらは肝臓の細胞にある酵素の数値で、肝臓に異常があると血液に多く漏れ出すのです。それによって、血液検査の数値も上がってしまいます。これらの検査でも、異常があれば医師に相談してください。

もともと肝臓に障害がある人に対しては、プロペシアは慎重に投与すると決められています。肝機能障害が副作用としてあらわれる確率は低いものの、悪化すると命にかかわる危険性があるので注意しましょう。

【副作用6】ポストフィナステリド症候群

ポストフィナステリド症候群とは、プロペシア(フィナステリド)の服用で起こった副作用が後遺症となってしまうことです。決して副作用は多くないものの、いちど発現してしまうと長期にわたって継続する恐れがあるのです。

ポストフィナステリド症候群の代表的な症状

  • 性欲障害
  • 射精障害
  • オーガズム障害

「副作用が出てもプロペシアをやめれば治るだろう」という安易な考えで服用せず、このような危険性があることも踏まえて服用しましょう。

初期脱毛は副作用ではない

初期脱毛は新し髪の毛が生えてくるときのヘアサイクルの一環として起こる

「プロペシアを飲みたいけど、副作用の初期脱毛が怖い」と考える人は多いものです。しかし、初期脱毛はプロペシアの副作用ではありません

初期脱毛とは、プロペシアを飲み始めてから3か月目くらいにかけて起こる脱毛症状です。発生頻度は不明とされており、初期脱毛によって抜ける量は1日におよそ400本から500本にもなります。

初期脱毛はヘアサイクルを整える過程

髪の毛は生え変わりの周期(ヘアサイクル)を繰り返しています。プロペシアは、AGAで乱れたヘアサイクルを正常な状態に戻すことで、健康な髪の毛を育てる薬です。その乱れたヘアサイクルを正常に戻す過程で、初期脱毛が起こると考えられています。

正常時とAGA時の髪の毛が生える周期(ヘアサイクル)の比較

通常のヘアサイクルでは、髪の成長期は2年から6年ほど続きます。しかしAGAの場合、髪の毛の成長期が数ヶ月から1年に短縮されてしまうのです。成長期が短いため、髪の毛はすぐに退行期、休止期に入っていきます。

プロペシアを飲むと、新しい髪を生やしてヘアサイクルを整えよう、という作用が働きます。そこで、休止期に入っている古い髪の毛が押し出されてしまうのです。休止期に入っていた髪が予定より早く抜けるので、一時的に脱毛が増えてしまいます。その結果、もともと少なかった髪の毛が減ってしまうので、次の髪の毛が生えてくるまでの間は頭髪が減ってしまうのです。

初期脱毛は、プロペシアが効果を発揮している証拠です。初期脱毛が終われば、新しく健康な髪の毛が生えてくるため、過剰に心配する必要はありません。

初期脱毛についてもっと詳しく知りたい場合は、以下の記事を参考にしてください。

初期脱毛はプロペシアが効いている証拠!毛包のリセット期間

プロペシアを飲むことで起こるリスク

プロペシアを飲むと、これまで説明してきたような副作用が起こる他に、妊娠に関するリスクを負う可能性もあります。また、インターネット上でよく見かける「プロペシアを飲むと前立腺がんになるのでは?」という説も気になりますよね。

ここからは、プロペシアと妊娠、プロペシアと前立腺がんの関係性について解説していきます。

妊娠中の女性にとってプロペシアは禁忌

妊婦がプロペシアを飲んでしまうと、プロペシアの副作用により胎児の男性器が正常に発達しない恐れがある

プロペシアはもともと男性専用のAGA治療薬ですが、妊娠中の女性には特に禁忌とされています。それは、男の子を妊娠していた場合、性器の発達に影響を及ぼすからです。

ジヒドロテストステロンは、胎児の成長過程において重要な役割を担っています。ジヒドロテストステロンは女性の体内でも分泌されており、胎児の男性器を作るために必要不可欠です。妊婦が誤ってプロペシアを飲んでしまうと、ジヒドロテストステロンが抑制され、胎児の男性器が正常に発達しない恐れがあります。

プロペシアの錠剤はコーティングされているので、通常は触るだけなら問題ありません。しかし、割れた錠剤に触れてしまうと、フィナステリドが皮膚から吸収されます。パートナーが妊娠している場合、取り扱いには十分注意しましょう。

子供が欲しい場合はプロペシアを飲まない方が安全

胎児に悪影響を及ぼすということは、「プロペシアを飲んでいるときに子作りをすると、なにか影響があるのでは?」と疑問に思うでしょう。確かに、プロペシアの成分は精子にも移ります。とはいえ、精子に移るフィナステリドの量はごく微量なので、基本的には問題ないと考えてよいでしょう。子作りに影響があるとすれば、性機能に関する副作用から、男性不妊症になってしまう危険性があることです。

はっきりとした影響がわかっていないため、医師によっても見解が違う場合があります。「子供が欲しい!」という希望があるなら、プロペシアは飲まない方が安全です。副作用のリスクを考慮し、パートナーとしっかり相談しましょう。

プロペシアで前立腺がんになる可能性は低い

「プロペシアを飲むと前立腺がんになるのでは?」と心配する声も多いですが、結論から言うとプロペシアを飲んで前立腺がんになった人はいません

前述したように、フィナステリドはもともと前立腺肥大症の治療薬として、海外で開発されました。そして、前立腺の細胞が増殖するのを防ぐことから、前立腺がんの予防薬としても研究されています。

しかし、その研究とは逆に、「フィナステリドの服用によって悪性腫瘍のリスクが高まる」という結果もあるのです。海外の研究結果を引用文で見てみましょう。

In May 2008, a re-analysis of the PCPT results showed a significant decrease of 30% in the overall risk of prostate cancer in the finasteride group vs the placebo group, but it also found a statistically non-significant and less important increase of the prevalence of high-grade cancers in the finasteride group.

この引用文は、フィナステリドとプラセボ(偽薬)でおこなった、前立腺がんの予防試験の結果です。内容は、フィナステリドの服用によって、前立腺がん全体のリスクが30%下げられた、というものです。その反面、悪性の前立腺がんのリスクは高まったという内容もあります。良性の前立腺肥大を防ぐことで、悪性度の高いがんになりやすくなる危険性があるのです。

とはいえ、引用文では「悪性度の高いがんの増加はそこまで重要ではない」とされています。フィナステリドと前立腺がんのリスクについて、まだ因果関係がはっきりとしていないのです。

以上のことから、リスクは否定できないものの、「プロペシアを飲んでいると前立腺がんになってしまう」という心配はいらないでしょう。

副作用が起こったら医師に相談しよう

プロペシアの副作用が起こったら医師に相談しよう

プロペシアを飲んで副作用が起こったら、かかりつけの医師に相談しましょう。プロペシアで副作用が起こる確率は低いですが、症状があらわれてなかなか治まらない場合は、病院へ行くのが一番です。

副作用の症状の重さによっては、医師がプロペシア以外のAGA治療薬を勧めてくれることもあります。薬は体質との相性が重要なので、合わない薬をいつまでも飲み続ける必要はありません。気になる副作用があらわれたら、プロペシアの処方をおこなってくれた医師に相談してください。

まとめ

プロペシアを飲むと、以下の副作用があらわれる可能性があります。

  • 性欲が落ちる
  • 勃起機能が低下する
  • 精液の量・質が低下する
  • 胸の肥大化や痛み
  • 肝機能の障害
  • ポストフィナステリド症候群

初期脱毛もプロペシアの副作用と思われがちですが、初期脱毛はヘアサイクルを正常に戻す過程であるだけで、副作用ではありません

男の子を妊娠中の女性が誤ってプロペシアを飲むと、胎児の性器が十分に発達しない恐れがあるので注意してください。また、「プロペシアを飲むと前立腺がんになる」と噂されがちですが、実際のところプロペシアで前立腺がんになった人はいません。

プロペシアは、基本的には副作用が少なく安全な医薬品です。とはいえ、さまざまなリスクがあることも否定できません。副作用が出てしまったら、まずは医師に相談しましょう。

参考文献・参考サイト

プロペシアの副作用で性欲低下?6つの副作用を徹底解明は、以下のサイトや資料を参考に作成しました。